介護サービスのご紹介③ ~介護療養型医療施設とは?~

2020.08.27掲載
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お役立ち情報

残暑が厳しいですね。。。
私たち京都・滋賀介護求人サーチの事務所がある京都でも、毎日35℃越えの厳しい暑さに見舞われております。
日中の暑さに加え、夜間も寝苦しく、湿度の高い日は、東南アジアのタイやカンボジアの雨季のような蒸し暑さでもあります。
東南アジアの各国では、テング熱に罹患する可能性もあり、特に今年はコロナ禍の影響により、シンガポールでは例年以上の罹患者数の報告があるようで、その要因として在宅勤務の増加並びに中断した工事現場等での水たまりが発生源とも言われております。
日本では、馴染みの薄い亜熱帯地域の病気とも思われがちですが、20年前と比較し、明らかに日本も亜熱帯化に近づいているのでは?と思うような暑さが続いておりますので、将来日本の四季が崩れるような気候変動にならないことを祈るばかりです。。。

さて、今回で3回目の介護サービスのご紹介となります。
平成12年にスタートした介護保険制度の中で、当初からある介護サービスもあれば、介護保険制度が成熟していく中で、新たなサービスが誕生したこともあり、医療従事者や介護従事者でも、全てを把握するには、多くの知識を得なければなりません。
「聞いたことあるけど。。」「結局どのようなサービスか知らない。。」という介護サービスもあるかも?しれません。
そんな時に、こちらの「お役立ち情報」にて振り返っていただければと思います!!

今回は、「介護療養型医療施設」についてご紹介したいと思います♬

介護療養型医療施設とは?

もしかすると、有料老人ホームや、訪問系で仕事されている方には、馴染みが無いかも?しれません。
この「介護療養型医療施設」とは、基本的に病院の入院サービスの一つとご認識いただいて問題ありません。
よって、そのほとんどが医療法人が運営する介護サービスの一つとなります。

以下、介護保険法による介護療養型医療施設の定義となります。

■介護療養型医療施設とは、療養病床等を有する病院又は診療所であって、当該療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他のお世話及び機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設。

また、以下基本方針となります。

■指定介護療養型医療施設は、長期にわたる療養を必要とする要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他のお世話及び機能訓練その他の必要な医療を行うことにより、その者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない。

総括すると、「医療の必要な要介護高齢者の長期療養施設」と位置付けられております。
ちなみに、介護療養型医療施設のことを「介護療養病床」とも言います。

日本の病院における療養病床(慢性期)の変遷

S48年(1973年)老人福祉法改正 老人医療費無料化

老人福祉法が改正され、老人医療費が無料化されました。
その影響もあり、いわゆる「老人病院」が増加し、施設の代わりとして病院利用が促進されております。
併せて、医師、看護師の配置の薄い病院が増加し、後に社会的入院問題に発展します。
この年は「福祉元年」とも言われております。

S58年(1983年)「特例許可老人病院」制度化

老人病院を医療法上「特例許可老人病院」と位置づけ、診療報酬上、医師・看護師の配置を減らし、介護職員を多く配置する等の点を評価しました。
※診療報酬上は、一般病院よりも低く設定されております
また、S48年から続いた老人医療費無料化が廃止され、自己負担が発生した年となります。
約10年間、老人医療費無料化が続けられ、急激な社会保障費の増加の要因ともなっております。
当時、都道府県によっては、病院開院時、一般急性期病棟での届出をしても、まずは老人病院としての届出を促され、その後急性期病棟へ転換した病院も多くありました。

H5年(1993年)医療法改正「療養型病床群」の創設

一般病院における長期入院患者の増加に対応し、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための療養環境を有する病床として、「療養型病床群」が創設されました。

H12年(2000年)介護保険法施行 / H13年(2001年)医療法改正「療養病床」の創設

H12年(2000年)に現在の介護保険法が施行されました。今年は介護保険が施行され、ちょうど20年の節目の年でもあります。
介護保険法では、療養病床の一部(介護保険施行時の2000年は、医療法改正までの間、療養型病床群としての位置づけでした)について、介護保険法上、主として長期にわたり療養を必要とする要介護者に対して、医学的管理・介護等を行う「介護療養型医療施設」として位置づけられております。
H13年(2001年)に、医療法が改正され、療養型病床群を老人病院(特例許可老人病院)を再編し、「療養病床」に一本化されております。

当時、今までの特例許可老人病院のままでは、療養病床に移行する際、廊下幅や1ベッドあたりの㎡数であったり、食堂の設置等、構造的な課題が多く、療養病床への移行に際し、増改築や新築工事により、ハード面の課題を解決する必要があったトピックでもあります。
新たな病床区分である療養病床で算定しなければ、経営的なダメージが多かったのも事実です。

介護療養型医療施設の基準について

介護療養型医療施設は、前述するように、基本的に「病院」の病床区分の一つであるとお考え下さい。
よって、医師の配置基準が設けられており、おおよそ入院患者数48名に対し、1名以上の医師がが必置となります。
各フロアごとの最大病床数は60床と定義されておりますので、例えば60床が1フロアとして稼働する場合、医師は2名必要となります。
また、看護職並びに介護職の人員基準も設けられており、一般的な高齢者施設と比較すると、人員配置基準だけを見ても、医療依存度の高い方に向けた施設であると言えます。

尚、設備基準においても、1室あたりの最大定員として4名以下ですので、H13年にこちらの病床区分が創設された時、多床室で6名定員であった病院は、構造的な課題が浮き彫りとなりました。
また、廊下幅であったり、食堂の設置等も義務付けられ、多くの構造的な課題に直面したのも事実です。
実際、介護療養型医療施設に入院される方々は、医療依存度の高い方が多く、いわゆる「寝たきり状態」の方も散見されており、食堂を利用するような自立した方が入院するケースは少ないのも事実であったと思います。

療養病床の概要(他施設との比較)

上図にて、他の病床もしくは施設と比較しております。
介護療養型医療施設の特徴として、病院の中の病床区分の一つでありながら、設置根拠が介護保険法を適用されることです。
例えば、同じ病院で就労しながら、フロアごとに医療療養病床と介護療養病床ともに有する場合、医療依存度は医療療養棟の方が高いにも関わらず、医療保険と介護保険の違いにより、医療療養病床では、介護処遇改善加算が不算定にも関わらず、介護療養病床では算定が可能となります。
正直、同じ病院の職員でありながら、勤務する病床が異なるだけで、給与に差が出るのはおかしな話ですね。。。
また、入院基準として、介護療養型医療施設では、要介護認定者に限られていることも特徴の一つとなります。
多くのケアミックス病院では、フロアによって、医療療養病床と介護療養病床が混在する病院もあり、「療養棟」と言っても、2つの異なる病床で構成される病院もございます。
現場レベルからは、少し離れた話となりますが、一旦介護療養病床で届け出した後、病院の運営上、別の病床区分(一般急性期病棟/医療療養病床等)への転換を許可する都道府県と許可しない都道府県がありました。
あくまでも、介護保険適用の病床区分となった以上、医療保険適用の病床区分への再転換は認められないケースです。

では、現状及び介護療養型医療施設の課題について、下記にてご紹介いたします。

介護療養型医療施設の現状及び課題について

療養病床数の推移

上図は、医療及び介護療養病床数の推移となります。
介護保険制度が創設されたH12年から6年経過後のH18年以降のデータとなりますが、療養病床全体の病床数はH18年時384,442床から、10年後のH28年時では338,857床約45,000床減少しております。
特に、今回ご紹介しております介護療養型医療施設では、H18年時120,700床あったものが、H28年時では58,686床と約62,000床減少したことが一番の要因となっております。
この現象の要因には、介護報酬における減算が一番の要因であると言われております。
前述するように、H12年に介護保険制度が改正され、翌年医療法改正も行われ、特例許可老人病院からの転換が必須となった病院でありましたが、そもそもの介護報酬が減算されてしまっては、当時の構造的な課題により、大きな投資を強いられた病院にとって、非常に厳しい報酬改正になったとも言われております。

介護療養型医療施設のメリットとデメリット

現在の、介護サービスの中では、多くの高齢者施設が存在いたします。
この介護療養型医療施設におけるメリットとしては、下記が挙げられます。

【メリット】
・入居一時金は不要(経済的メリット)
・病院の病棟であるため常勤医師が配置され、他の施設と比較し看護職・介護職が多く配置(医療・介護体制の整備)
・高齢者施設以上の介護職人員配置のため、身体介護等介護サービスは充実
・胃瘻や喀痰吸引といった医療ケアは充実(医療体制の整備)
・容態が急変した場合、病院内の一般急性期病棟への転棟が容易
・リハビリ等、機能訓練が充実(PT、OTの配置)
・介護度が高くても、医療区分2~3であっても入院が可能

やはり、一番のメリットは、医療ケアが充実していることが挙げられます。

では、以下にデメリットも挙げてみます。

【デメリット】
・終の棲家としての利用はできない
・個室が少なく、基本的には相部屋となる
・1ベッド当たりの㎡数が6.4㎡と、やはり狭い
・イベントやレクリエーションが少ない
・加算の算定があれば、費用が割高となることもある。

終の棲家として利用できない。と表現しておりますが、無論看取りもされております。
ただし、特別養護老人ホームのように、終の棲家として終身利用が約束されているものではなく、病院内でリハビリ等行い機能回復された場合、自宅への退院となるケースもございます。
また、基本的に相部屋ですので、プライバシーが100%担保されているとは言いづらい環境となります。
病院の多床室での入院と同じようなイメージです。
尚、他の介護サービスとして、特別養護老人ホームや介護老人保健施設含め、有料老人ホーム等でも、入所者の方々へのレクリエーションや、四季折々のイベントが開催されておりますが、医療依存度が高い方ということもあり、介護という側面より治療という側面を重視するため、そのようなイベントは少ない傾向です。
やはり「入院」というイメージの方が強いサービスとなります。

このようなご説明をさせていただく中で、やはり「医療」と「介護」の療養病床の境目が無いように思えます。

介護療養型医療施設の課題

①療養病床の現在の生活環境は長期療養を前提としていないため、1人あたりの床面積(6.4㎡)が狭い
②療養病床にかかる費用は介護老人保健施設や特別養護老人ホームと比較すると高い
③療養病床の入院患者のうち医師の対応がほとんどないケースが概ね5割
④日本の病院での平均在院日数は、国際的にみても極めて長く、その際たる例が療養病床の存在が重要な要因の一つ

厚生労働省としても、昨今の少子高齢化による社会保障費の抑制の施策として、今回ご紹介した介護療養型医療施設の今後について、大きなかじ取りを迫っております。

介護療養型医療施設の今後

介護療養型医療施設は、以前より多くの課題がありました。
そこで、厚生労働省は、転換支援策を打ち出しております。
転換支援策として、一番大きなものとして、介護療養型医療施設そのものを、令和5年を以て廃止する意向が打ち出され再編成が迫られております。
療養病床の再編成の基本的な考え方として、療養病床については、「医療の必要度の高い患者を受入るものに限定し、医療保険で対応すると共に、医療の必要性の低い患者については、病院ではなく、ケアハウス等を含む在宅又は老健施設等で受け入れることで対応することとする。」
すなわち、病院へ入院するのではなく、その他の高齢者施設と在宅を有効活用し、病院での長期となる在院日数の短縮効果をもって、社会保障費の抑制施策の一つともされております。

このように、今後病床区分自体が廃止の方向性であることは間違いない介護サービスの一つとなります。
実は、廃止が叫ばれ、院内老健への転換支援策が出ましたが、移行先として各病院の判断で、なかなか進まなかったのが事実です。
厚生労働省もあの手この手で支援策を打ち出しておりますが、経営的な側面からすると、病院側は受け入れられなかったものと思われます。

尚、この転換支援策として、新たな病床区分・介護サービスが平成30年に創設されております。

それが、「介護医療院」となります。

次回、介護医療院についてご紹介させていただきたいと思います。

いかがでしたでしょうか?

今回は、介護療養型医療施設という介護サービスをご紹介させていただきましたが、一見すると病院の中の施設であり、簡単には見分けがつかないですね。
病床区分がわからない方からすると、「病棟」の一つですので。。。
この介護療養型医療施設が廃止となった移行先を含め、今後の介護領域についてもご紹介できればと思います!

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