これから医療・介護の業界を目指す方へ ~地域包括ケアシステムとは?~

2020.07.09掲載
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お役立ち情報

まずは令和2年7月豪雨で被災された方々には心からお見舞い申し上げるとともに、復興に尽力されている皆さまには安全に留意されご活躍されることをお祈りいたします。
私ども京都・滋賀介護求人サーチの事務所は京都駅より徒歩5分の立地ですので、大きな被害はありませんでしたが、京都市の南北を流れる鴨川では、一部歩道の冠水等も見られ、毎年同じような光景を目にするようになりました。
今年はコロナ禍による影響が収まる気配もないまま、梅雨に入りこのような災害に見舞われ、常に何かしらの備え」が必要な時代になったのではないでしょうか?

今回、私ども京都・滋賀介護求人サーチから、これから医療や介護の業界を目指す方に向け、医療と介護の基礎知識となるキーワードとなる「地域包括ケアシステム」についてお伝えしたいと思います。

地域包括ケアシステムの実現に向けて

日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しております。
65歳以上人口は、現在3,000万人を超えており、その割合は国民の約4人に1人となります。
このような状況の中で、団塊の世代(約800万人)の方々が75歳以上となる2025年(令和7年)以降、国民の医療や介護の需要が、更に増加することが見込まれております。
このため、厚生労働省では、2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しております。
日本の年齢区分別人口構成を見ても、
■平成2年:年少人口(0-14歳)18.2%、生産人口(15-64歳)69.7%、老年人口(65歳以上)12.1%
■平成30年:年少人口12.2%(▲6.0%)生産人口59.7%(▲10.0%)老年人口28.1%(+16.0%)
過去より少子高齢化によるネガティブ要因の一つとして、年少人口並びに生産人口が減少し、老年人口割合が21%超の超高齢社会時代に突入しております。
このような超高齢社会の中で、社会保障費の抑制施策の一つとして、今回お伝えする地域包括ケアシステムを実現することができれば、生産人口が減少していく中でも、医療や介護の提供を継続していくことが目的の一つであると言えます。

地域包括ケアシステムとは?

地域包括ケアシステムとは、
■団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。
■今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。
■人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少う町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じています。地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げてことが必要です。

若い世代の方々は馴染みがないと思いますが、過去の日本では自宅で亡くなるのが当たり前の時代もありました。
厚生労働省の統計では、統計を取り始めた1951年データによると、自宅死が82.5%・病院死は11.7%という時代がありました。
それが1976年には病院死が自宅死を上回り、2005年には病院死が82.5%まで上昇し、自宅で亡くなるという割合が減少し続けました。
この要因は、日本の高度成長とも比例しており、豊かな生活・便利な生活・核家族化・共働き等にもリンクしており、便利で安心なサービスの一つとして病院に最期を任せる流れになったかもしれません。
また、日本では早くから国民皆保険を導入しており、1973年以降1983年老人保健法の施行までの約10年間老人医療費の無償化という政策も拍車のかかる出来事だったと言えます。
先にも述べましたが、今後少子高齢化による生産人口が減少することになれば、老年人口を下支えする世代も同じく減少することとなり、必然的に医療費を含む社会保障費の抑制が急務とも言えます。
そこで、原点回帰となるべく、地域包括ケアシステムを提唱し、人生の最期を病院で終わるのではなく、自分らしく、自身が望む場所を選ぶことができる環境整備を政府がシステム化しております。
逆に、ここ30年ほどは、病院しか選択肢がない時代とも言えますが、今後この地域包括ケアシステムが実現すれば、医療と介護サービスを自身で選択し、自分らしい人生の歩み方も決められる時代になるのではないでしょうか?

地域包括ケアシステム実現に向けての新たなサービス

ここまで、地域包括ケアシステムの枠組みや、政府が提唱する目的をお伝えさせていただきました。
この地域包括ケアシステム実現に向け、医療や介護の現場でも新たなサービスが誕生しておりますので、少しご紹介させていただきます。
■医療保険:地域包括ケア病棟(病院・一般病床)
この地域包括ケア病棟とは、病院の中では一般病床の中の一つの病床区分となっております。
急性期治療を経過し、病状が安定した患者さん(ポストアキュート)に対して、在宅や介護施設への復帰支援に向けた医療や支援を行う病棟となります。
本来、一般病棟で症状が安定すると、早期退院を促しておりましたが、在宅での療養に不安があったり、リハビリを経て退院し、退院後すみやかに在宅復帰・社会復帰できるよう治療や支援を行う病棟となります。
また、急性期入院医療までは必要ないが、在宅や施設での急性憎悪(サブアキュート)された方も地域包括ケア病棟での入院加療が可能となります。
このように、急性期を脱したポストアキュートや、在宅や施設でのサブアキュートをカバーする病棟区分となります。

■介護保険:定期巡回・随時対応型訪問介護看護
地域包括ケアシステムは、施設での「安心・安全」が「住み慣れた場所」で提供されることも提唱しております。
その中で生まれた介護サービスが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護となります。
地域包括ケアシステムでは、サービス付高齢者専用住宅等住み慣れた地域で新たな住まいを確保したうえで、24時間対応となる定期巡回・随時対応型訪問介護看護を創設し、通所・訪問・宿泊がセットとなった小規模多機能型居宅介護に看護を連携させた「複合型サービス」が創設されております。
今までは、一つ一つのサービスを組み合わせケアプランを計画していたものが、複合型のサービスにパッケージ化されたため、利用者にとっては、利用しやすいサービスが住み慣れた地域で受けることが可能となりました。

このように、2025年に向けた政策の一つとして、地域包括ケアシステムが導入され、約5年ほど経過しましたが、医療や介護のサービス区分としては数多くなり、素人目には複雑な印象ですが、利用者にとっては、自身のライフスタイルに合った、使いやすいサービスを選択することが可能となってきております。
このようなシステムが便利で且つ安心に提供され続ければ、在宅や施設での看取りも増えるかもしれません。
今の日本を作って来られた先人への敬意を忘れず、治療しケアすることが医療と介護業界で働く意義にもなると思います!
今の医療や介護は、このような流れで進んでいることを少しでもお伝えすることができれば、これから医療や介護業界を目指す方々に対して「備え」の一つになればと思います!

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