介護サービスのご紹介④ ~介護医療院とは?~
ほんの少し。。。日差しが和らいだ感じはしますが、まだまだ暑い日が続きますね。
夏特有の夕立のような天気もあり、熱中症には要注意です!
そんな中、安倍首相が辞任表明されました。
約8年弱の長期政権でありましたが、持病の潰瘍性大腸炎の再発による影響とのことです。
在任期間における政治の評価については、それぞれの考えや思いがありますが、仕事を続けるうえで、健康不安であったり、身内の看護や介護で離職せざるを得ない方々がいるのも事実です。
そのような社会課題を解決するひとつが、病院での入院・通院であったり、高齢者施設への入所であったり、在宅での医療や介護でもあると思います。
今回は、議員辞職されることではないようですので、同じ病により社会的な制約がある方々に対して、発信力のある方より病気との付き合い方についても、広く発信していただければ、悩みや不安が少しでも解消される方の一助になるのでは?とも思います。
さて、こちらのお役立ち情報で、介護サービスについてご紹介しておりますが、今回で第4回目となります。
前回、介護療養型医療施設についてご紹介させていただきましたが、令和5年に廃止が決定しており、その移行先として平成30年に創設された「介護医療院」についてご紹介したいと思います♬
目次
介護医療院とは?
介護医療院とは、介護サービスのご紹介として、「介護老人保健施設(老健)」「介護老人福祉施設(特養)」「介護療養型医療施設(介護療養棟)」この3つの介護保険施設をご紹介させていただきましたが、平成30年4月、介護保険事業計画により介護保険法等の一部が改正され、令和5年に廃止決定した「介護療養型医療施設」の代替施設として、新たに法定化された施設となります。
基本的に、「介護療養型医療施設」の受け皿として創設されております。
介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護者に対し、<日常的な医学管理>・<看取りやターミナル等>の医療ケアと、<生活施設>としての機能を兼ね備えた介護保険適用の施設と認識いただければと思います。
また、大原則として、介護療養型医療施設からの転換が介護医療院の届出上の基準となるため、「病院」の1フロアに配置されている介護施設となります。
※院内老健からの転換もあります。
よって、医師が常駐し、夜間対応も可能な施設であり、看取りにも対応する地域包括ケアシステムの重要なファクターとなる「長期療養」と「日常生活支援」を一体的に提供する介護サービスとなります。
この介護医療院の創設経緯については、前回のお役立ち情報にて「日本の病院における療養病床(慢性期)の変遷」にて掲載しておりますので、気になる方は下記より確認いただければと思います♬
介護サービスのご紹介③~介護療養型医療施設とは?~ ←クリック
介護医療院の概要
介護医療院の定義は以下のとおりです。(介護保険法第8条第29項)
介護医療院とは、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護医学的管理の下における介護及び機能訓練そのほか必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設
基本方針としても、入所者が有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができる環境でなくてはならない。と定義されております。
いわゆる、「医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設」となります。
今までは、病院の中に「生活施設」を有する病床区分が無かったのも事実です。
他の介護保険施設との比較
介護保険施設の比較
上図は、各介護保険施設を比較したものとなります。
【医療療養病床】
病院・診療所の病床のうち、主として長期療養を必要とする患者を入院させるもの
【介護療養病床】
病院・診療所の病床のうち、長期療養を必要とする要介護者に対し、医学的管理の下における介護、必要な医療等を提供するもの
【介護老人保健施設】
要介護者にリハビリ等を提供し、在宅復帰を目指す施設
【特別養護老人ホーム】
要介護者のための生活施設
【介護医療院】
要介護者の長期療養・生活施設
それぞれ特徴がありますが、介護医療院が他の施設や病床と異なるところは、医療ケアが可能な長期療養施設でありながら、今まで無かった生活施設としての機能を有する施設となります。
上図にもございますが、医師や看護師並びに介護職員等の人員配置基準は、介護療養型医療施設と、ほぼ変わりない人員数でありながら、1ベッドあたりの㎡数は、8.0㎡以上に規定されており、生活施設としての機能を向上させた基準となっております。
また、多床室でもパーテーションや家具で間仕切りを作るなど、プライバシーに配慮するよう義務付けられております。
より、高齢者施設の環境に近くなった印象です。
介護医療院の種類
介護医療院には、上図のようにⅠ型とⅡ型があります。
Ⅰ型(介護療養病床に準ずる施設)
基本的に、介護療養型医療施設の転換病棟として位置づけされております。
よって、「重篤な身体疾患を有す」「身体合併症が生じている認知症高齢者」を入所者として想定された施設となります。
また、Ⅰ型は療養機能強化型AとBに分類されており、強化型Aの方が、医療依存度が高い入所者を想定し、医療ケア並びにターミナルケアを必要とする入所者の割合が高い施設となります。
そのため、人員配置基準は医師の配置は48対1と、介護療養型医療施設と同じ人員配置基準が設定されております。
Ⅱ型(介護老人保健施設以上に準ずる施設)
Ⅱ型は、介護老人保健施設以上の施設として位置づけられております。
Ⅰ型と比較し、比較的安定した状態の入所者を対象とし、医師の人員配置基準も介護老人保健施設と同じ100対1とされております。
介護老人保健施設の医師人員配置基準と異なるのは、夜間の医師配置となり、介護老人保健施設では、夜間必置ではありませんが、介護医療院では当直医以上の配置が必置とされております。
夜間における急性憎悪等にも対応し、且つ生活機能としての環境整備が求められております。
介護医療院のメリット・デメリット
このように、介護医療院では、医療と介護そして生活機能を加えたハイブリッドな施設形態が創設されましたが、ここでメリットとデメリットをご紹介いたします。
介護医療のメリット
・医療や看護における対応が、老健や特養と比較し手厚い
・入居一時金等、イニシャルコストの負担は無い
・ターミナルケアや看取りにも対応
・夜間における急性憎悪にも対応可
・医療療養棟や介護療養型医療施設と比較し、生活機能(1ベッドあたりの㎡数、プライバシー保護等)が充実
・介護保険適用施設となるため、比較的安価
介護医療院のデメリット
・基本的に医療や看護に手厚い体制であるが、積極的な治療までは行っていない
・医師の配置や看護師の人員配置基準が高い設定のため、特養と比較すると費用は割高
・そもそも施設がまだ少ない
医療療養病床や介護療養型医療施設ともに、医師が配置され老健や特養と比較すると手厚い医療の提供が行われておりますが、基本的に投薬・注射等は丸目算定となり、入院料に包括されおります。
よって、病院側からすると、積極的な治療(注射・投薬・検査等)する病棟とは言えない病棟でもあります。
介護医療院も同様の性質の病棟であることを付け加えさせていただきます。
また、介護医療院への入所を希望したとしても、地域によっては、施設数が少ない地域もあり、今後廃止が予定されている介護療養型医療施設からの転換等により、施設数は増加する見込みではありますが、新たに介護医療院を開設することは現状不可ですので、需要と供給のバランスが保たれるのかにも注目したいと思います。
京都府・京都市内における介護医療院の開設状況
京都市内 :12施設 1,944床
南丹圏域 : 1施設 90床
乙訓圏域 : 1施設 52床
山城北圏域: 1施設 60床
京都府内では、15施設、2,146床の介護医療院がございます。
令和2年6月末現在のデータですが、都道府県別にみると、福岡県の2,162床に次ぐ、介護医療院の病床数となります。
特に、京都市内で多くの病院が、介護医療院に転換されておりますので、他の都道府県と比較し、利用者の方にとっては、選択肢の広い都道府県のひとつと言えます。
尚、京都府における人口10万人に対する介護医療院の病床数は83.4床となります。
滋賀県内における介護医療院の開設状況
湖南圏域 :1施設 100床
東近江圏域 :1施設 120床
湖東圏域 :1施設 60床
滋賀県内では、3施設、280床の介護医療院がございます。
尚、滋賀県における人口10万人に対する介護医療院の病床数は19.8床となります。
京都と比較すると、まだまだ施設数並びに病床数は少ないですね。
ただし、京都で開設する介護医療院の病床数は全国トップクラスですので、比較対象としては難しいところです。。。
いかがでしたでしょうか?
今まで、療養型医療施設や医療療養病床が病院の療養病床として機能しておりましたが、平成30年より新たに介護医療院が創設され約2年経過しております。
現状、医療と介護のハイブリット施設としての機能を有しており、利用者にとってのQOL向上に繋がり、持続的な病床群となればいいですね。
介護医療院が、今後の地域包括ケアシステムの中核となり、より推進され深化されればとも思います!
ちなみに。。。介護医療院が、老健や介護療養型医療施設との最も大きな違いがあることお気づきでしょうか?
「院」が付きます。
管理医師が施設長ではなく、「院長」となります。
厚労省も施設のネーミングまで思慮したのでしょうね。。。
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まだまだ多くの介護サービスがございますので、次回もその他の介護サービスについてご紹介したいと思います!
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